あるある問題がいまだに終結しない。
むしろ、今やっと批判の材料が集まりつつある印象を受ける。
こうしたテレビによる「疑似科学」が批判されるのは何度目かわからないが、
あるある問題が最後にならないことだけは、はっきりわかる。
さらに私の知っている心理学の分野でも、
マスメディアで取り上げられて、首を傾げる事柄もある。
その最たるものは「催眠」である。
まっとうな大学の心理学部で、催眠を専門に取り上げている人はほとんどいない。
それに比べて催眠はあまりにも過大評価されている。
私も催眠によるリラックス効果は否定しない。
また、苦痛への抵抗や身体能力の引き出しについても、全く効果がないわけではないだろう。
しかしそれらの効果は、なにか別の方法でも十分に代替可能なのである。
だが、世の中にはさも催眠が魔法、奇跡のように、
「催眠以外では物理的に不可能な事柄を行える」と喧伝する人達がいる。
いわく、催眠を受けると忘れていた記憶がよりよく蘇る。
いわく、人が上に乗ることが出来るようになる。
こうしたことについて、心理学では既に知見が集まっている。
そして、知見の方向性ははっきりと……「否」に向かっているのだ。
催眠術師を出すような番組制作者は、これらをわかっているのだろうか?
それとも視聴率のために、目をつぶっているのだろうか。